作者・背景
- 作詞・作曲者: 作詞:Kealiʻi Reichel(ケアリイ・レイシェル)、Puakea Nogelmeier(プアケア・ノゲルマイヤー) / 作曲:Kealiʻi Reichel
- 制作年代・背景・経緯: 1999年に発表され、ケアリイ・レイシェルの名盤アルバム『Melelana(メレラナ)』に収録された、現代ハワイアン・ミュージックの金字塔となる名曲です。作者であるケアリイ・レイシェルが、言語学者であり親友のプアケア・ノゲルマイヤーとともに、自身の最愛の母親への深い感謝と尊敬を込めて書き下ろしました。
この曲の読み方(Kaona)
この曲には、表向きの情景とは別に、明確な裏の意味(二重構造のカオナ)が存在します。一見するとマウイ島に聳え立つ美しいマウナレオ山とそこにたなびく雲や霧雨の風景を歌っているように見えますが、ハワイの伝統的な言葉遊び(Kaona)により、どんな時も揺るぎなく子供を守り包み込む母親の深い愛と力強さが明確に重ね合わされて表現されています。
日本語訳
愛されるマウナレオの山よ
きらきらと輝く霧雨に彩られて
山の高所に広がる美しいマントのように
気高く力強く、尊き存在として称えられる
天から授けられた最愛の我が子、大切な存在
漂う霧に包まれて白くかすむ山頂
その穏やかな胸元を美しく飾る
幾重にも連なる山並みに優しく抱きすくめられ
引き寄せられ、傍らに寄り添い、愛おしまれる
胸に抱かれ、レイのように愛でられ、気高く慈しまれる
今ここに、私の最愛のレイを捧げます
気品に満ちた美しきマウナレオへ
穏やかな静寂の中で美しく装い
気高く力強く、尊き存在として称えられる
天から授けられた最愛の我が子、大切な存在
マウナレオへ捧ぐ、穏やかな平穏の中に満ちる愛を
愛おしいあなたへ、愛を込めて
意訳を含みます
言葉の奥に宿る想い(Kaonaと背景解説)
表面的に歌われているもの
歌詞の中では、マウイ島西部(イアオ渓谷のすぐ隣)の山脈に誇り高く聳え立つマウナレオ(Maunaleo:ハワイ語で「山の声」の意)山の雄大な姿が描かれています。山肌を優しく濡らす静かな霧雨(kilihuna)や、山頂を白く包み込むように漂う雲(ʻohu)と霧、周辺一帯に優しく吹く穏やかなそよ風(Mālie:マーリエの風)、そして山並み(kualono)が織りなす幻想的で穏やかな自然情景が、ハワイ語の最も格調高く美しい詩的技法を用いて色鮮やかに描写されています。
カオナ(裏の意味・文化的解釈)の解説
この曲には、表向きのマウナレオ山の美しい景観を讃える情景の裏に、作者自身の母親への深い感謝と尊敬という裏の意味(カオナ)が込められていることが、ケアリイ・レイシェル本人によって明かされています。
ハワイ文化において「山(mauna)」は、どっしりと構えて激しい風雨や困難から家族や子供を守る「 sentinel(番人・守護者)」のような強い親の存在を象徴し、山を優しく包む「雲」や「霧雨」は親が子を包み込む温かな抱擁やアロハ(愛情)を象徴しています。
そして、このメレの最大かつ最も美しいカオナの仕掛けが、3番の冒頭にある「今ここに、私の最愛のレイを捧げます(Eia kuʻu lei aloha)」というフレーズです。
実は、ケアリイ・レイシェルの実の母親のファーストネームは「Lei(レイ)」というお名前です。
ハワイ語の詩において「レイ(lei)」は通常、愛する子供や大切な人を例える王道の比喩ですが、この曲においては、「私の愛しい人(レイ)」という言葉そのものが、母親の愛称(本名)である「レイ」という個人の名前を直接指すという、これ以上ないほどに鮮やかで私的なトリプル・カオナ(三重構造)が組み込まれています。
自分の名前を冠した美しい山の姿に重ね合わされ、天からの授かりものとして我が子(ケアリイ)から最大級の賛辞と感謝を贈られた母親のレイさんは、カメハメハ・スクールで行われたコンサートでケアリイがこの曲を目の前で歌った際、あまりの愛の深さに涙を流したという有名なエピソードも残されています。どんな荒波や困難が訪れてもその場を動かず、常に我が子を温かく見守り守り続けてくれる母の力強さと優しさが、ハワイの伝統的な詩的技法を通じて、これ以上ないほど気品高く詩情豊かに歌い上げられています。


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