不吉な夢が告げたもの
ハワイ島のオラアの森で、夫カハーナイアケアクアと暮らしていたパーリウリ。
ある夜、彼女は心を乱される夢を見ます。
夢の中に現れたのは、夫と、見知らぬ女性の姿でした。
目覚めても、胸に残る不安は消えません。
そのころ、パーリウリを育てたワカもまた、不思議な力によって夫の旅立ちを見通していました。
カハーナイアケアクアは、ふたりの友人、ワイオラとカヌクオカマヌとともに、家を離れていたのです。
三人が向かったのは、カウマナという土地。
そこで彼らを待っていたのは、若い女性たちの踊りでした。
女性たちは踊りによって三人を引き留めようとします。しかし、彼らはその誘いを断り、さらに旅を続けました。
やがて三人がたどり着いたのは、雪の女神ポリアフが暮らすマウナケアでした。
雪の女神ポリアフとの出会い
雲の上にそびえるマウナケア。
その山で三人を迎えたのは、ポリアフと、彼女の姉妹であるリリノエ、カラウアコレアでした。
雪をまとう女神たちは、三人を迎え入れ、そこにとどまるよう誘います。
そして、カハーナイアケアクアの心は、雪の女神ポリアフへと傾いていきました。
夫の帰りを待つパーリウリは、まだこの出来事を詳しく知りません。
けれども、彼女が夢に感じ取った不安は、現実のものとなっていたのです。
愛する人の心が、自分の知らないところで離れていく。
そのことを、パーリウリはまだ受け止めきれずにいました。
ワカが連れ戻した夫
ワカは、夫がマウナケアにいることを知ると、彼を連れ戻すために動きます。
大きな海鳥に乗り、雪の山へと向かうワカ。
そして、カハーナイアケアクアを連れ、パーリウリのもとへ帰ってきました。
夫が帰ってきた。
パーリウリにとって、それはどれほど嬉しいことだったでしょう。
離れていた時間の不安も、胸に抱えていた悲しみも、ようやく終わるかのように思えました。
ふたりは再び一緒に過ごし、やがて眠りにつきます。
しかし、その静かな夜に、ポリアフが再び現れました。
彼女はカハーナイアケアクアを説得し、もう一度マウナケアへ連れ戻してしまいます。
一度は取り戻したはずの愛する人。
その人が、再び自分のもとを去っていったのです。
雪に閉ざされたマウナケア
今度こそ、ワカに見つからないように。
ポリアフは神聖な力を使い、マウナケアを雪で覆いました。
山は白く染まり、夫の居場所を見つけることは、いっそう難しくなります。
ハワイの温暖な島にあって、雪に覆われる高山。その厳しくも美しい風景は、ポリアフの力を物語る象徴的な情景です。
けれども、パーリウリにとって、それは美しい景色として眺めていられるものではありませんでした。
夫は、また自分のもとを離れてしまった。
今度は、どこにいるのかさえ分からない。
待っているだけでは、もう会えないのかもしれない。
パーリウリは、愛する人を探すため、自ら旅に出ることを決意します。
旅の先に待っているもの
パーリウリは、島々を巡りながら夫を探すことになります。
それは、愛する人を追い求める旅。
けれども、この旅は、夫を見つけることだけでは終わりません。
見知らぬ土地で人々と出会い、フラに触れ、新しい世界を知っていくパーリウリ。
その姿は、物語を大きく動かしていきます。
そして、彼女の詠唱は、遠く離れた場所で暮らす妹ケアオメレメレの耳にも届くことになります。
黄金の雲の娘は、姉に何が起きているのかを知るため、動き始めるのです。
パーリウリの旅は、ここからケアオメレメレ自身の物語へとつながっていきます。
次回予告|ケアオメレメレ神話 第3回「姉の歌が届いた日」
夫を探して島々を巡るパーリウリ。
旅の途中で出会ったのは、フラを踊る人々でした。歌と踊りに触れながら、彼女は少しずつ新たな一歩を踏み出していきます。
やがて、その詠唱は遠く離れた場所にいるケアオメレメレのもとへ。
姉の声を聞いた黄金の雲の娘は、何を思い、どこへ向かうのでしょうか。
次回、ふたりの姉妹の物語が動き始めます。

※本記事は、ハワイに伝わる神話『ケアオメレメレ』の伝承をもとに、公開資料を参考に構成しています。原典の逐語訳ではなく、読みやすさを考慮して一部に情景描写を加えています。伝承には異なる形があります。
参考資料
・Kamehameha Schools|Keaomelemele 公式あらすじ(舞台版のあらすじ)
・Bishop Museum Press|The Legend of Keaomelemele(原典のハワイ語本文・英訳を収録した書籍の情報)


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